無用の用~雑談板 414296

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唐十郎氏 アノヨー

1:小狸工房:

2024/05/05 (Sun) 09:28:30

「今回の芝居は大入りだったから劇団の皆にもボーナスが出せたんですよ」
「して、お幾ら」
「十万円」

「役者ってぇのは食えない商売だ」
というのは手塚治虫氏の「刑事もどき」から。

彼に関してはアングラ劇団の立役者とか鬼気迫る文章で芥川賞とか、ややもすれば良い悪いの二元論で語られがちだが、そんなものはるか後方に置き去りにした、真の表現者の一人であった。
生の自分を表現しようとすれば必然でアングラとなる、あれで良いのだと背中を押された無数の小劇団が彼の後に続けた。そのどれもが亜流に終わるなという妖しい熱気を孕んでいた。
その上でバブル期の軽佻浮薄な空気には拒否反応を起こしたので、彼の演劇は更なる変貌を遂げ。

彼も脳天を打ってからは少し大人しくせざるを得なくなったが、とうとう逝ったか。
2:小狸工房:

2024/05/05 (Sun) 09:30:02

アニメの仕事もしていたのか。
3:ウッソ魔人 :

2024/05/05 (Sun) 14:45:01

黄金の日日の、完全オリジナルキャラ。
武士や権力者ではない、商人としての助左衛門と相対するライバルとして設定された奴隷商。
振る舞いもファッションも尋常ではない。アングラ的である。
豊臣政権では外交アドバイザーも務めている。
秀吉の前で寝そべりながら明からの返書を翻訳して閣僚たちのウソを暴いた。

4:小狸工房:

2024/05/05 (Sun) 15:08:03

アングラ系出身の俳優さんも話題になった頃でしたね。

しかし、市民権を得るというのはアングラにとっては不本意なのであろうか。
5:小狸工房:

2024/05/06 (Mon) 10:50:20

あの当時に演劇を目指した者にとっては、否でも応でも影響を受けているのだ。
演劇界全体に風穴を開けたというのか。
彼無くしては「なんじゃこりゃあ?」も「あっしには関わりの」も無かったかもしれないな。

間違えてはいけない。
アングラ系には反社を目的としたものもあったわけだが、彼は確信犯であれば(本来の意味で)必然で反社的な演出を取ったわけだから。単なる方法論の違いであり、最低限の社会性は備えていないと長期にわたる活動ができたはずも無いのだ。

歌舞伎に始まる日本の時代劇が様式美に陥らずに済んだのは、もちろんこれはこれで残さねばならぬのだが、このやり方でも行けるのだと彼が実例を示してくれたおかげだ。
映画界から溢れた人材をテレビに呼ぶのにしても、無理にテレビの作法を押し付けなかったので、存分に活動できた面もあるだろう。
アウトサイダーに焦点を当てた劇作だ。

トレンディドラマが全てを塗り替えてしまったが、これはこれでまた時代の新しい風なのだし。

アングラが勢いを失ったものだから改めて文化的にも評価されたのは、やはり何かが違うような。同じ拍子抜けはボブ・デュランも感じただろうな。権威に楯突く自分が権威に褒められるのは不合理だと。

これでまた何かがひとつ、息の根を止められてしまった。

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