無用の用~雑談板

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重源と頼朝 小狸工房

2025/07/03 (Thu) 23:21:06

齢61。

平重衡が焼いちゃった大仏と大仏殿の再建を、後白河法皇はこの老僧に押し付ける。
ムチャンコな様に思っていたが、西行法師とも親交の深い重源でもあるので、ブレーンは揃えられる見通しはあったのだな。

それにしても世は源平合戦の真っ最中であるので、資金を募ろうにも貴族も腰が引ける。お金の事ばかりではなく、誰かに肩入れすれば誰かを敵に回す恐れもあるタイミングだ。迂闊に協力できない。

これを解決するために、重源は募金箱を手押し車に乗せて、弟子と共に全国を行脚し、クラウドファンディングに打って出る。
大陸から出張していた技師も招き、大仏の再建にはこぎ着けた。

だがこれを収める大仏殿を再建するための木材が見つからない。奈良周辺の良質な木は既に伐り尽くされているのだ。
さて、どうする。

関東があるジャン 小狸工房

2025/07/03 (Thu) 23:59:55

御仏の導きに従い、関東へ赴く重源。
幸いに良い木も見つかり、これを伐ろうとするのであるが、国司の妨害に遭い、プロジェクトの進行に難儀する。地域行政官からすれば、何だって資材を差し出さねばならんのだと。

困り果てた重源は、頼朝公に要請して、地頭から木材の供出を頼めないものかと申し出るのだが、頼朝はこれを拒否。法皇に圧力をかけて地域司法官の任命を認めさせたまでは良いが、これ以上土地の者たちを刺激したくは無かったのである。

一度は落胆した重源であったが、唐突に頼朝から資材供出の申し出を受ける。

ここがとても不思議であったのだが、磯田氏の解説で深く納得。
「奥州征伐で頼朝は弟の義経君の首を取っちゃいましたからね。夢見が悪かったんですよ」
弟に汚れ仕事を押し付けた果てに粛清したのであるから、相当に魘されたものと思える。仏に力を貸して、修羅道に落ちるのばかりは避けたかったかと。

ここで木材の伐採や運搬に派遣されたのが梶原景時なんだなァ。この時点では存命中なのだけれども、結局は内ゲバで彼も粛清されるんだなァ。

大仏の開眼式には後白河法皇が筆を執ったのだけれども、大仏殿の落成式には源氏配下の者で建物の周囲をガチガチに固め、大仏殿は鎌倉幕府が建てたのだと世間にアピールする。
割と打算的な思惑もあって、大仏様も再建できたのだと理解できました。さすがに善意ばかりでは人も物も動かんか。

大仏を囲む仏像は、運慶快慶を始めとする慶派の仏師が担当したのも、頼朝の要請があっての事だったのだな。奈良や京の寺院はなよなよした姿の仏ばかりを欲しがる。彼が理想とした筋肉の塊のような力士像は鎌倉に付いていなければ思い切り彫れなかったのもあるだろう。

平成の時代の大修理で、その金剛力士像から、重源のささやかなレジスタンスとして、民衆の願い事を記した紙片が随所から発見されたのであるが、
「姉さんの赤ちゃんが無事に生まれますように」
「父母が心安らかにいられますように」
本当に小さくて、それでいて切実で。
これが重源の求めた仏の真の姿であったのだな。

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